小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

第5話①「噂の真相」Axis of Fate~大樹物語~

ジンラグナの領主が裏を飼っているという噂話の真相を確かめるためにその街へとやってきた。 タスカーから南東の一本道の街道を行くと海へと出る。海沿いの少し離れた沖に孤島が見える、それがジンラグナだ。 島全体が街になっており、高波の対策のためだろ…

第4話⑩「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

アルファ達が猫探しをしているその頃、ルアは旅支度のために市場を歩いていた。「あら、貴女。また会ったわね」必要な物を買いそろえていると再びヨーンに出会う。「あ、ヨーンさん。ここにいたんですね」笑顔で声をかけられ彼女もそちらへと近寄っていった…

第4話⑨「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

そしてしばらくの間、見つけては逃げられ…見つけては逃げられ…を繰り返しいっこうに摑まる気配がない。しまいにはエリザベスを見失ってしまいそれぞれ手分けして町の中を探し歩いた。 「エリザベスちゃん見つかった?」 町中を走り回ったサウスがアルファと…

第4話⑧「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

ギルドへと到着すると早速サウスが一緒でもできそうな下級依頼を探した。 「これとかいいんじゃないかな?」 「これもいいと思うアル」 「こっちのもいいかもしれないぞ」 一覧を皆で見てこれがいいんじゃないかとあれこれ考える。 「でもこれは、ちょっと……

第4話⑦「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

そしてアルファ達が町に滞在して丸2日が経過し、ルアが作っていたサウスの新しい服が完成する。 「サウス。ちょっとこれを着てみてくれないかしら?」 「へ?」 にこにこと笑いながら彼女の前へと服を差し出す。意図が分からずサウスは呆けた顔をした。 「…

第4話⑥「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

翌日。ギルドに向かう前に本屋へと立ち寄り初級魔術書を数冊購入する。そして再び宿屋へ戻るとそれをサウスへと渡した。 「これで魔術の基礎を覚えておけ。読み終わったら魔法の猛特訓だからな、覚悟しておけよ」 「ありがとうアルファ。うん、ボク頑張って…

第4話⑤「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

町周辺の魔物を討伐依頼を受けたアルファ達は郊外で、猪型の魔物との戦いを行っている最中だった。 「スゥ俺が正面からいくからお前は回り込んで奴の背後を狙え!」 「分かったヨ!」 彼が指示を出すと彼女は了承し走り出す。 「ほら、これでも食らえ!」 ひ…

第4話④「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

それからしばらくしてアルファ達はタスカーへと到着した。 馬車の荷台から顔を覗かせて外の様子を眺めるスゥ。 「ずいぶんと賑やかあるネ」 「大きな町ではないけれど、冒険者や観光客達の中継地点になっているから多くの人が集まるのよ」 ヨーンがそう言っ…

【番外編】それぞれのバレンタイン

※原作よりも前の世界軸です。水竜寺先生よりいただきました。ありがとうございます! 今日は年に一度のバレンタイン。どこかの国では想いを寄せる男性へと女性がチョコを贈り想いを伝える日らしい。 この国でも似たような文化があり、想いを寄せる人へ花を贈…

第4話③「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

…そして、それぞれ自己紹介も終わり馬車に揺られること数時間。 「……」 「な、何?」 ずっとサウスの顔を見詰めるルーンに彼女は正体がばれることを恐れながら尋ねる。 「… …」 「っ…!」 少女が顔をよく見たいと思ったのかフードを外そうと手を伸ばす。 サ…

第4話②「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

森を抜け、街道をしばらく歩いていると前方に何か見えてきた。黒い塊が何やらうごめいている。 近付くとはっきりと見えた視界の先には十頭の狼に囲まれ襲われている馬車の姿があり、その持ち主と思われる人が抵抗している姿も見えた。 「大変!馬車が襲われ…

第4話①「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

翌朝スゥが昨夜狩った大猪を一人で殆ど食べてしまった為朝食抜きで町まで向かい旅を再開する。 グルルルゥ~ 「お腹すいたヨ。ご飯食べたいアル」 巨大な魔物が唸るがごとく大きなお腹の音を響かせてスゥが情けない声で呟く。 「もうちょっとで町につくから…

第3話⑧「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

それから少ししてからアルファを見張り番に残し女性陣は眠りにつく。 そして辺りも静まり返った真夜中のこと… 「…ねえ、アルファ」 蒔きの番をしている彼へとサウスがそっと声をかけてきた。 「なんだ寝てないのか」 「これ、お兄ちゃんの手帳なんだけど…」 …

第3話⑦「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

それから本当についてくるスゥを仲間に加え町へと向けて旅を再開する。 「とりあえず食料が無くなっちゃったから、早く町に行かないとね」 「だが、今日の明日のじゃ無理だな。とりあえず今日は早めに野営をするぞ。森の中だし食料になりそうなものを集めれ…

第3話⑥「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

しばらくサウスの耳を触っていいた二人だが満足した様子で彼女から離れる。 「…ところでにぃはなぜサウス様と一緒に行動してるヨ?」 「一から説明するとめんどいが…目指す場所が同じだからだな」 スゥの言葉にアルファが答えた。 「?」 「ボクはね、くうか…

第3話⑤「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

「「「?」」」 崇めるスゥの様子に三人は状況が呑み込めず不思議そうに顔を見合わせた。 「ねえそのマオシンって何なの?」 聞きなれない単語にルアが尋ねると、 「ワタシの国のシンでは狐ガ神、フゥ神様を崇めてル。だけどワタシの故郷は猫ガ神、マオ神様…

第3話④「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

しばらく歩いていると、前方の道に何か赤い物体が横たわっているのが見えてくる。近付くにつれてそれが人であることに気付いた。 「あ!アレ…誰か倒れてるよ」 サウスが見つけて駆け寄っていった。 「大変!怪我してるのかも!?」 ルアも慌てて駆け寄ってい…

第3話③「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

「終わったな…」 魔物から意識をそらすとアルファは言う。 「ちょっと時間かかっちゃったわね。サウス、もう出てきても大丈夫よ」 その言葉にルアも話すと背後にいるサウスへと声をかけた。 「……」 木の陰からひょこっと出てきた彼女は深刻な顔で何事か考え…

第3話②「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

「まだ動けるのか!?」 それをかわした彼は元気そうな相手の様子に呟く。 ルアはアルファが魔物の相手をしているうちに、腰のポシェットからルーペのような道具を取り出し、目の前へとかざした。 これは【ネンリシンボル】というもので、対象の能力値が分か…

第3話①「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

サウスと出会ったアルファとルアは彼女を連れて遺跡を出る。 そしてそこから一番近い町へと目指し旅を続けた。 木々が生い茂る山道を下っていると 「ルア」 何かに気付き剣を構えるアルファ。 「わかってる。サウス、私達の後ろに」 その様子にルアも理解し…

第2話⑪「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

石舞台を別々の所で調べていた二人だったが、 「何もないわね」 何も手がかりとなるようなものは見つからず、魔方陣もかすれていてどんなことに使われたのかも分からなかった。 「術式もかすれてて何をしたのか分からねえから、これ以上調べようがねえな」 …

第2話⑩「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

ーーー数時間休憩し、アルファが動けるようになるまで回復した。 あくまでこのラウルス遺跡には探索目的で来ているのでさらに奥へと向かう。 建物を出ると、街全体が天井が土で出来たドームに覆われていて、目の前には当時の建物が風化せずにそのままの状態…

第2話⑨「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

暫くそうしていると落ち着きを取り戻したサウスが彼女から離れる。 「アルファ」 「… … …」 静かになったアルファへとルアが声をかけるが返事はない。 薬が効いて眠っている様子だった。 「アルファは寝たわね…サウス。さっきは怖い思いさせてごめんなさい。…

第2話⑧「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

薄暗い部屋にルアがかけた魔法の淡い光がふわふわと漂っている。 「これを焚けば魔物は寄ってこないから、大丈夫よ」 彼女は魔物除けの為の香を焚き、少女へ向けて安心させるように話す。 「はい、アルファはこれ飲んで」 そして、アルファには煎じた毒消し…

第2話⑦「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

その頃逃げて行った少女はというと、建物のエントランス近くまで来ていた。 「はぁ…はぁ…出口だ」 大きな扉が見えてもう直ぐ出口だと思ったその時。 ドオーンっ! 「うわぁっ!」 大きな音を立てて高さ二メートルぐらいの巨大な蜘蛛のモンスターが少女の前へ…

第2話⑥「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

「待て!」 「行かせない!」 逃げ出した少女を追いかけようと駆け出すアルファの前に再び立ちふさがり通せんぼをすると鋭い眼差しで彼を睨んだ。 「ルア…どういうつもりだ?あいつは裏なんだぞ」 「私は裏なんて見た事ないし、あんたがあいつ等に家族や村の…

第2話⑤「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

一方その頃ルアは中庭から大分離れた場所に来ていた。 少女を背負いこの建物で迷っていたのだ。 「う~ん。ここ何処だろう?早く外に出なくちゃいけないのに…この扉開けられないかしら」 出口と思われるエントランスの扉は外側が土砂で塞がれているのか、 「…

第2話④「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

「はあぁっ!」 静かになった空間に剣と剣がぶつかる金属音が響く。 シュンの大剣を受け止めた衝撃で少し体が沈み込む。 「なかなかいい腕してんじゃねえか」 その様子にアルファは一気に警戒の色を強めたが、表面上ではにやりと笑い余裕で相手の剣を押し返…

第2話③「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

「!?」 最初に駆け寄ったルアが様子を伺う様に子どもを見る。 オレンジ色の上下、肩に付くほどの髪。だが人間には生えていないはずの猫のような獣の耳が頭に生えていることに気付き息を呑んだ。 (え…本物?) 彼女はそっと獣耳に触り、微かに体温があるこ…

第2話②「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

「ねぇアルファ、聞こえる?」 落ちた先は暗闇で何も見えなかったためルアは大きな声をあげてアルファの無事を確かめる。 「大丈夫なの。怪我とかしてない?」 「大丈夫だ。だけど真っ暗で何も見えねえな」 それにすぐに返事が返ってきて彼女は胸を撫でおろ…