小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

小説

第4話⑩「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

アルファ達が猫探しをしているその頃、ルアは旅支度のために市場を歩いていた。「あら、貴女。また会ったわね」必要な物を買いそろえていると再びヨーンに出会う。「あ、ヨーンさん。ここにいたんですね」笑顔で声をかけられ彼女もそちらへと近寄っていった…

第4話⑦「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

そしてアルファ達が町に滞在して丸2日が経過し、ルアが作っていたサウスの新しい服が完成する。 「サウス。ちょっとこれを着てみてくれないかしら?」 「へ?」 にこにこと笑いながら彼女の前へと服を差し出す。意図が分からずサウスは呆けた顔をした。 「…

【番外編】それぞれのバレンタイン

※原作よりも前の世界軸です。水竜寺先生よりいただきました。ありがとうございます! 今日は年に一度のバレンタイン。どこかの国では想いを寄せる男性へと女性がチョコを贈り想いを伝える日らしい。 この国でも似たような文化があり、想いを寄せる人へ花を贈…

第4話①「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

翌朝スゥが昨夜狩った大猪を一人で殆ど食べてしまった為朝食抜きで町まで向かい旅を再開する。 グルルルゥ~ 「お腹すいたヨ。ご飯食べたいアル」 巨大な魔物が唸るがごとく大きなお腹の音を響かせてスゥが情けない声で呟く。 「もうちょっとで町につくから…

第3話⑧「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

それから少ししてからアルファを見張り番に残し女性陣は眠りにつく。 そして辺りも静まり返った真夜中のこと… 「…ねえ、アルファ」 蒔きの番をしている彼へとサウスがそっと声をかけてきた。 「なんだ寝てないのか」 「これ、お兄ちゃんの手帳なんだけど…」 …

第3話⑦「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

それから本当についてくるスゥを仲間に加え町へと向けて旅を再開する。 「とりあえず食料が無くなっちゃったから、早く町に行かないとね」 「だが、今日の明日のじゃ無理だな。とりあえず今日は早めに野営をするぞ。森の中だし食料になりそうなものを集めれ…

第3話④「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

しばらく歩いていると、前方の道に何か赤い物体が横たわっているのが見えてくる。近付くにつれてそれが人であることに気付いた。 「あ!アレ…誰か倒れてるよ」 サウスが見つけて駆け寄っていった。 「大変!怪我してるのかも!?」 ルアも慌てて駆け寄ってい…

第3話②「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

「まだ動けるのか!?」 それをかわした彼は元気そうな相手の様子に呟く。 ルアはアルファが魔物の相手をしているうちに、腰のポシェットからルーペのような道具を取り出し、目の前へとかざした。 これは【ネンリシンボル】というもので、対象の能力値が分か…

第2話⑪「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

石舞台を別々の所で調べていた二人だったが、 「何もないわね」 何も手がかりとなるようなものは見つからず、魔方陣もかすれていてどんなことに使われたのかも分からなかった。 「術式もかすれてて何をしたのか分からねえから、これ以上調べようがねえな」 …

第2話①「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

王都イリンシュレイより南西、山中。 薄暗く木々が生い茂る森深く。 「はぁ…はぁ…」 そこにマントを羽織った子どもが切羽詰まった様子で必死に走っていた。 「鬼ごっこはもうつまらないな~。そろそろ終わりにしたいな~♪」 息を切らし、さらに森の奥へと逃…

第1話⑧「始まりの道④」Axis of Fate~大樹物語~

広場と王宮を見渡せる高い塔に全身黒の服を身に纏った青年一人が佇んでいた。 「エクザクスがついに動き出したようだね…」 青年は演説が終わり人々がそれぞれ歩んでいく光景を眺めている。 「ほらあの人だよ。彼がこの件に関わっているのは間違いないんだけ…

第1話⑥「始まりの道②」 Axis of Fate~大樹物語~

ギルドの建物を出て王宮を目指し歩き始める。 すると細い路地から出てきた茶色のマントを羽織った者とぶつかりそうになった。 「!!」 よく見ると身長は130センチほどで子どもだろうか? 顔もフードを深く被りよく見えなかった。 「ご、ごめんなさい…」 子…

第1話⑤「始まりの道①」 Axis of Fate~大樹物語~

そして現在3909年イリンシュレイ国、王都下町にある小さな冒険者組合(ギルド)【ハイ・マート】その地下にある寮のベッドの上… 「っ!!」 青年は夢から覚めると同時に飛び起きる。とっさに首筋を触る…夢で最後に〝奴〟に傷つけられた箇所。 だがそこには何も…

第1話④「過去」 Axis of Fate~大樹物語~

聖歴3896年、これは13年前の出来事ーーーイリンシュレイ国の王都より西にある辺境の村地【ハイス】 山々に囲まれ自然豊かな村だ。そこに住む黒髪短髪の少年は村から少し離れた丘で花を摘んでいた。 「喜んでくれるよな♪」 彼はにこやかに微笑み呟く。 …

第1話③「旅立ち」 Axis of Fate~大樹物語~

そして翌日。まだ薄暗いうちから起きた少女はそっと兄の部屋へとやって来る。そしてテーブルの上に置いてある手帳を手に取ると眠っている兄の顔を見やった。 「…行ってくるね、お兄ちゃん…」 目の前に眠っている兄へと精一杯の笑顔でそう囁くと彼を起こさな…