第3話②「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~
「まだ動けるのか!?」
それをかわした彼は元気そうな相手の様子に呟く。
ルアはアルファが魔物の相手をしているうちに、腰のポシェットからルーペのような道具を取り出し、目の前へとかざした。
これは【ネンリシンボル】というもので、対象の能力値が分かるという優れもの。
魔物のステータスを確認すると…
「…って、ええっ!」
ルアは突拍子に変な声をあげた。
「こいつ体力だけはバカにならない数値じゃないの!?どんどん攻撃しないとこっちが不利になるわよ!」
体力の数値が通常の魔物の数倍もあったのだ。
「まじかよ…とにかく俺が引き付けるからどんどん攻撃してくれ。一番威力高いやつな」
彼女の言葉に彼はめんどくさいといいたげに言うと指示を出す。
「了解よ」
彼女もそれに頷くと意識を集中して魔法を放つ準備をする。
「ぐああっ」
背後で詠唱中のルアの方へと向かう魔物。
「おっと。そっちにいかせるか!」
その様子に一瞬で敵との間合いを詰めると、剣を振りかぶり相手を斬りつけ意識を自分の方へとむけさせる。
「精霊の吐息、我等に力を…」
詠唱を終えた彼女がステータス上昇の術を発動させる。
「よっし!はぁっ!」
そして、力が上がったアルファは大きく前進し、相手の懐へと剣を突き刺した。
「ぐがぁっ」
今までの攻撃とは違い、魔物が身もだえる。
「っ!あいつの弱点は胸みたいね!」
その様子にルアが言う。
「あぁ、そうらしいな。そこを狙うぞ!」
とアルファも気づいていた様子で頷き弱点一本に絞り込む作戦へと変更する。
「はぁ!」
アルファが剣で薙ぎ払うと真空波が発生し、相手の正面に当たる。
「七つの光明…審判にて彼の者に裁きを!」
そして、間髪入れずにルアが光の魔法を放った。彼女の前に現れた一つの大きな光の塊は、七つの球体に分かれたと思うと光速の速さで次々に魔物に貫いていく。
「ぐぎぁあああっ…」
奇怪な悲鳴をあげて地面へと倒れ、次第に黒い塵となって崩壊していった…