小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

第3話①「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

サウスと出会ったアルファとルアは彼女を連れて遺跡を出る。

そしてそこから一番近い町へと目指し旅を続けた。

木々が生い茂る山道を下っていると

 

「ルア」

 

何かに気付き剣を構えるアルファ。

 

「わかってる。サウス、私達の後ろに」

 

その様子にルアも理解していて頷くとサウスを自分達の後ろへと下がらせる。

 

「え?う、うん…」

 

一人だけ理解できていない様子で彼女が不思議そうにしながらも二人の後ろへと退いた。

するとーーー

 

「ぐるぁあああっ!」

 

と、大きな雄たけびとともに、薄紫の毛むくじゃらの熊のような動物が草むらの茂みから出てきたのだ。

 

「こいつはでかいな」

 

ゆうに3メートルを超えたその巨体は赤黒い瞳を光らせ、鋭い牙で威嚇している。

 

「この辺りに生息してるっていう噂の魔物かもね」

 

2人は警戒し身構える。

 

「サウス、攻撃が当るといけないから、あの木の陰にでも隠れてろ」

「う、うん。わかった」

 

アルファの指示に従い慌てて少し離れた場所にある木の後ろへと隠れた。

 

「ぐぅああっ!」

 

魔物の腕がアルファへと向けて振り下ろされる。

 

「おっと…俺がこいつを引き付ける。ルアはその間に」

 

それを剣の平で受け止めた彼が背後にいるルアに言う。

 

「わかってるわよ」

 

彼女は小さく頷くと

 

「命の源…清らかなる水よ…集え降り注ぎ、弾けろ!」

 

静かな口調で詠唱をする。

相手の頭上に大きい水の塊が現れると、一気に地面に向けて落下する。地面に接した水の塊は飛散しはじけ飛んだ。

 

「ぎぁあっ」

 

「こいつも食らえ!」

 

ルアの技を受けて動きが止まった魔物にアルファは後ろへ周り、容赦なく次の一手を繰り出す。

 

「爆ぜろ炎!はぁっ!」

 

炎の渦をまとった剣が相手へ向けて振り下ろされると、炎が波動となり敵に当たると炸裂する。

 

「ぐるあああっ」

 

彼等の攻撃を受けたにもかかわらず魔物は平気そうにアルファへと攻撃した。

 

「ぐっゔがぁ!」

 

「っと…まだ動けるのか!?」