小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

第4話⑦「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

そしてアルファ達が町に滞在して丸2日が経過し、ルアが作っていたサウスの新しい服が完成する。

 

「サウス。ちょっとこれを着てみてくれないかしら?」

「へ?」

 

にこにこと笑いながら彼女の前へと服を差し出す。意図が分からずサウスは呆けた顔をした。

 

「アルファがね、そのローブで町を出歩くのは目立つからって。私があなたの新しい服を作ったのよ」

「そうだったの?」

 

ルアの言葉でようやく理解ができた彼女が嬉しそうに仕上がったばかりの服に袖を通す。

基本は今までの服に猫耳フードとズボンにはフィッシュテールスカートを付け、胸の中心とアームカバーには可愛らしいリボンが付いているデザインだ。

「サウス様、可愛いあるヨ!」

「うん。思った通り似合ってるわ。ねえ、アルファもそう思うでしょ?」

 

スゥがハートを飛ばしながら言うとルアも微笑みアルファに同意を求める。

 

「ああ。この格好なら誰にも耳と尻尾の事がバレないだろうな」

 

それに彼が頷くとそう話して笑う。

 

「嬉しいな。アルファ、ルア。ありがとう!ボクこの服を着て外に出て…あ、そうだ!ねえボク、アルファと一緒にクエストしてみたいな」

 

新しい服に浮かれてはしゃぐサウス。

 

「はっ?…あー、そうだな。せっかく新しい服に着替えたんだし外に出てみるのもいいかもな」

 

エストに一緒に同行したいと頼まれ一瞬驚いたものの小さく頷き了承する。

 

「それなら今日は皆で行くあるヨ」

「でもいきなりサウスにクエストって難しいんじゃない?」

 

スゥがそう提案する横でルアが考え深げに話す。

 

「まあ下級クラスくらいならいけるだろう。さすがに戦うのは難しいと思うから町の中でのクエストとか、か…」

 

それにアルファがそう答えると、とにかくギルドへ行ってから仕事内容を見て決めようということになった。

 

「じゃあ私は市場に買い物に行ってくるわね。旅支度を整えておかないと」

「わかった。そっちは任せるぞ」

 

ルアが言うとアルファはサウスとスゥを連れて宿を出たのだった。