第4話⑧「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~
ギルドへと到着すると早速サウスが一緒でもできそうな下級依頼を探した。
「これとかいいんじゃないかな?」
「これもいいと思うアル」
「こっちのもいいかもしれないぞ」
一覧を皆で見てこれがいいんじゃないかとあれこれ考える。
「でもこれは、ちょっと…」
「フードを取られでもしたら大事になっちまう可能性があるしな…」
考えすぎて眉間に小さなしわを寄せてサウスが言うとアルファも彼女の正体がバレてはいけないと話す。
「じゃあ、この猫(マオ)様捜しはどうあるカ?」
スゥが一つの依頼を指した。
「マオ…あぁ猫か」
それは猫を捜してほしいという依頼だった。
「そうだな。それなら簡単そうだし良いんじゃないか?」
「これならボクでもできそうだね」
二人もそれならいいかもしれないと頷き合う。
こうしてアルファ達は猫探しのため詳しいことを尋ねに依頼主である町長の家へと向かった。
「依頼を受けてきたんだが、町長、詳しいことを教えてくれないか?」
「わしが可愛がっているエリザベスちゃんが昨日、家から出て行ってしまってのぅ…探してもどこにも見当たらなくてな。それで依頼をしたというわけじゃ」
アルファの言葉に町長は心配でたまらないと言った顔で説明する。
「その猫の特徴を教えてくれないか?」
「エリザベスちゃんは白いふわふわの毛並みにブルーの瞳の愛らしい子じゃよ。頭にはピンク色のリボンを付けているんじゃ」
アルファが尋ねると町長がそう情報をくれた。
***
「飼い猫となると町からは出てないだろうから、まずはこの近辺から探すか…」
アルファ達は聞いた話を基にその特徴に合う猫探しを始める。
「そうだね。怪我とかして動けなくなっているだけかもしれないし」
「それとも遊びに夢中になってるとかかもしれないあるヨ」
それにサウスとスゥが頷きまずは家の近辺から探すことにする。
「あ、いたよ」
と早速、町長の家から数十メートル離れた建物の軒下で昼寝をしている毛の長い白い猫をサウスが見つけた。耳の所には町長が言っていたように頭部にピンクの可愛いリボンが付いている。
「よし、エリザベス。そのままじっとしててくれよ」
っ!にゃぁ!
アルファがそっと近寄り摑まえようと手を伸ばすも猫は慌てて逃げ出す。
「あ!逃げたヨ!」
スゥが叫ぶように言うと慌てて猫を追いかけたのだった。