小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

第4話①「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

翌朝スゥが昨夜狩った大猪を一人で殆ど食べてしまった為朝食抜きで町まで向かい旅を再開する。

 

グルルルゥ~

 

「お腹すいたヨ。ご飯食べたいアル」

 

巨大な魔物が唸るがごとく大きなお腹の音を響かせてスゥが情けない声で呟く。

 

「もうちょっとで町につくから我慢しろよな」

 

それに誰のせいだと言いたげに苛立った声でアルファが言うが、

 

グゥ~

 

彼女のお腹の音につられて小さく彼のお腹も鳴る。

 

「今のはアルファ?」

「はははっ。アルファだってお腹すいてるじゃないの」

 

サウスが不思議そうに尋ねるとルアがおかしそうに笑う。

 

「う、うるせぇ~…」

 

その言葉に恥ずかしさで頬を赤く染めながらアルファが言うと歩く速度を速める。

 

「待ってヨ。そんなに早く歩けないネ…」

 

一人だけさっさと歩いていってしまう彼へとスゥが元気のない声で訴える。

 

「もう、何怒ってんだか…」

 

ルアも困った幼馴染だと言いたげに呟いた。

 

「うるせえ。置いてくぞ!」

 

彼女達へと声だけかけるとアルファは更に一人で先を行く。

 

「ま、待って…わっ!」

 

彼の後を必死に追いかけようとしてサウスは躓いて転ぶ。

 

「大丈夫あるカ?」

 

近くにいたスゥが慌てて駆け寄ると手を貸して立ち上がらせた。

 

「何やってんだ…?」

 

先を歩いていたアルファもさすがに立ち止まり振り返ると呆れた様子で言う。

 

「アルファが一人で先に行っちゃうからでしょ!レディーが三人もいるんだからちょっとは考えてよね!」

 

その言葉にルアが苛立たし気な口調で怒鳴る。

 

「…レディー?」

「なによぅその目は!」

 

半眼で見てくる彼へと彼女が怒って強い口調で言う。

 

「…別に」

 

それに適当に返すも今度は三人の後ろを歩き、彼女達の歩調に合わせてゆっくり歩いていったのだった。