小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

第3話⑤「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

「「「?」」」

 

崇めるスゥの様子に三人は状況が呑み込めず不思議そうに顔を見合わせた。

 

「ねえそのマオシンって何なの?」

 

聞きなれない単語にルアが尋ねると、

 

「ワタシの国のシンでは狐ガ神、フゥ神様を崇めてル。だけどワタシの故郷は猫ガ神、マオ神様を崇めているんだヨ。ダカラ、マオ神様を崇めたヨ」

 

彼女は淡々と説明をした。

 

「それでお前を見て拝んだってわけだな」

「まさか…ボクがあがめられるとは思わなかったんだけど…」

「でも、この様子ならサウスの事を“裏”とは思っていないみたいだから大丈夫そうね」

 

拝むスゥを横目に三人はこそこそと話し合うと小さく頷き合う。

 

「それにしてもマオ神様がどうしてこんなところにいるあるカ?まさかワタシを助けるためにお姿を現してくださったのカ?」

「ボクはサウスだよ。だからサウスって呼んで。それにボクはマオ神じゃなく…むぐっ…」

 

ありがたがる彼女の様子にサウスが困った様子で言いかけたがアルファに口をふさがれ驚きそちらへと視線を送る。

 

「ここは話を合わせておけ。マオ神とかって奴だと思っていたほうのが都合がいいからな」

「ぅ、うん…ふぁかった」

 

小声で耳打ちしてきた彼の言葉に彼女が大きく何度も頷くと塞がれていた手が外され息を吸い込む。

 

「マオ神様のお名前がサウス様あるカ?それならサウス様と呼ばせて頂くヨ」

「う、うん…で、こっちのお兄さんがアルファでお姉ちゃんがルアだよ」

 

スゥがそう言うとサウスはアルファ達を見て紹介する。

 

「よろしく」

 

それにルアがにこりと笑った。

 

「それにしてもサウス様のお耳は本当にフサフサしていて気持ちよさそうあるネ」

「え…?」

「あ、それ。私も同じこと思っていたのよね。とっても触り心地よさそうだな~って」

 

スゥの言葉にサウスが驚くとルアも同意して彼女の耳を見つめる。

 

「そのお耳、ゼヒとも触らせて頂きたいヨ♪」

「ねえ、その耳触っていい?いいよね?ふふふ…」

「!?」

 

手をワキワキさせながら迫って来る二人の様子にサウスはひきつった顔で慌てて逃げ出す。

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「う、うわぁっ」

 

逃げ出すもすぐに二人に回り込まれ捕まるとそのまま耳をモフモフと触られサウスは悲鳴をあげる。

 

「…や、やめて…」

「きゃ~もふもふ~♪」

 

そんな彼女の悲鳴など気にした様子もなくルアがハートを飛ばしながら右耳を触り続けた。

 

「オぉ~さすがマオ神様のお耳。触り心地さいこーネ」

 

左耳を触っているスゥも言うとその触り心地の良さにずっとモフモフし続ける。

 

「なにやってんだか…」

 

一人だけ遠くでそれを傍観するアルファが呆れた様子で呟いていた。