小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

第3話⑦「異国の少女」Axis of Fate~大樹物語~

それから本当についてくるスゥを仲間に加え町へと向けて旅を再開する。

 

「とりあえず食料が無くなっちゃったから、早く町に行かないとね」

 

「だが、今日の明日のじゃ無理だな。とりあえず今日は早めに野営をするぞ。森の中だし食料になりそうなものを集めればなんとかなるだろう」

 

ルアの言葉にアルファが言うと森の中で食料になりそうな獣や木の実などの食べられるものを探す。

 

「この足跡は…少し大きいけど猪の足跡だな」

「まだ近くにいるかもしれないね」

 

獣道にできた真新しい足跡を見たアルファが言うとサウスも呟き猪の足跡を追いかけて森の奥へと進んでいく。

 

「あ、あそこに」

ルアが茂みの奥に見つけた大猪の背中を指さすとアルファが剣を構える。

 

「よし、じゃあ…」

「ここは任せるあるヨ!」

 

だが、そんな彼の言葉を遮りスゥが大猪目がけて突撃した。

 

「はぁああっ!」

 

スゥの持っていた武器、二節棍(ヌンチャク)。つなぎ合わせると一本の棒のようになった。そして猪の頭へとそれを振りかざしたのだ。彼女の細身の身体では思えないほどの強烈な一撃。

猪は何が起こったか分からないうちに事切れる。

 

「「「!?」」」

 

一撃で大猪を倒してしまったスゥの様子に三人は驚きその場から動けなかった。

しばらく呆気に取られていた彼等だったが猪を引きずり始めた彼女の様子に近くに駆け寄り手伝う。

 

「この猪本当に大きいわね」

「ああ、これだけあれば数日は保つかもな」

 

大猪を担いで野営場所に戻りながらルアが言うとアルファも相槌を打つ。

 

「早速、今日の夜ご飯確保あるネ♪」

 

スゥの言葉に皆が先ほどの食欲を思い出し、嫌な予感を覚える。

 

(((今日のって…まさか!)))

 

その予感は的中してしまい数日はもつかもしれなかった猪の肉をスゥが一人でほとんど平らげてしまった。

 

「これは町に向かいながら、毎回食料を調達しないといけないかもしれないわね」

「とんでもない奴が仲間になったもんだぜ…」

「なにか不安あるカ?ワタシがついているからオ肉の調達は無問題ネ♪」

 

ルアとアルファの話が聞こえたのかスゥがそう言ってにこりと笑う。あんたの事で不安なんだと言い出せない三人は小さく溜息を零した。