小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

第4話⑤「良からぬ噂」Axis of Fate~大樹物語~

町周辺の魔物を討伐依頼を受けたアルファ達は郊外で、猪型の魔物との戦いを行っている最中だった。

 

「スゥ俺が正面からいくからお前は回り込んで奴の背後を狙え!」

「分かったヨ!」

 

彼が指示を出すと彼女は了承し走り出す。

 

「ほら、これでも食らえ!」

 

ひと際巨大な猪の魔物へと右手を振りかざし真空波を放つ。

 

「グルルゥ」

 

それを受けた魔物が標的をアルファ一人に絞り込み突進してきた。

 

「おっと」

「行くあるヨ。はぁぁあっ!」

 

彼がそれを避けている間に背後に回り込む事に成功したスゥが隙だらけの魔物の背中へと棍を突き出し、三回連続で叩き込むと最後に回し蹴りを繰り出した。

 

「ブギャアッ」

 

蹴り飛ばされた魔物は木に思いっきり体当たりする形となり気絶する。

 

「いまだ。食らえ!」

 

アルファが止めだとばかりに剣を突き出すと胸をを一突きに貫いた。

 

「ブギャアアァッ…」

 

断末魔を上げ、黒い塵と化していく魔物。

 

「ふぅ…終わったな」

「アルファ。これでクエスト終了あるカ?」

 

息を吐き出し構えを解いた彼の下へと駆け寄ってきた彼女が尋ねる。

 

「ああ。こいつがこの辺りに出没する魔物のボスっぽいしな。しばらくの間は町に魔物も寄ってこないだろう」

「それじゃあお仕事達成あるネ!」

 

それに頷くとスゥが嬉しそうに笑顔になり言った。

 

「思った以上に時間がかかっちまったな。ギルドに報告に行くか」

「どんなお仕事でも任せるヨ。美味シイご馳走のためニ!」

「… …」

 

アルファの言葉ににこやかな笑顔で彼女が返事をするが、彼は呆れて黙り込んだ。

 

(スゥの意識が飯以外に向いてくれればありがたいんだが…まぁ、戦力になってくれているからいいか…)

 

内心で呟くとスゥに気付かれないように小さく溜息を吐き出す。

そうして滞在一日目の夜はあっという間に過ぎ、稼いだお金で宿代と夕食代を支払う。

久々にまともな夕食にありつけたアルファ達はご馳走を平らげるとアルファは一人部屋にルア、サウス、スゥは大部屋へと別れてこの日は眠りについた。