小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

第2話⑨「ラウルス遺跡」Axis of Fate~大樹物語~

暫くそうしていると落ち着きを取り戻したサウスが彼女から離れる。

 

「アルファ」

「… … …」

 

静かになったアルファへとルアが声をかけるが返事はない。

薬が効いて眠っている様子だった。

 

「アルファは寝たわね…サウス。さっきは怖い思いさせてごめんなさい。こいつの事許してあげて欲しいの」

「お兄さんは…ボクがこんな姿してるから、だから剣を向けてきて殺そうとしたんだよね」

 

ルアが申し訳なさそうな顔で謝るとサウスは悲しそうな顔で呟く。

 

「違うの。そうじゃないわ。ただ…こいつ前に起きたFateっていう事件で〝裏〟によって家族を殺さたから。だから今でも奴等を憎んでるのよ」

「フェイト?裏?」

 

首を振って語られた言葉に少女が不思議そうに小首を傾げた。

 

「私も聞いた話なんだけどね。昔、裏と呼ばれた人ならざる者…アーディッシュって言ったかしらね。奴等によって、たくさんの人が死んでしまったの。あいつは十三年前の事件で生き残った者の一人なのよ」

 

静かな口調で十三年前に起こった〝裏〟と呼ばれる者たちが起こした事件をルアは語る。

 

「…人ならざる者…」

 

初めて聞かされる悲しい事件にサウスはだから自分は殺されそうになったのかと暗い表情で俯いた。

 

「ボクもその…裏…なのかな?」

「あなたは裏とは関係ないわよ。だから大丈夫よ…」

 

膝をきつく抱えて呟かれた少女の言葉に彼女はにこりと笑い安心させるように言い聞かせ、震えるサウスの頭を優しく撫ぜる。

そうして少女が落ち着くまで大丈夫だと言い聞かせたのだった。