小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

第1話①「大樹の女性」 Axis of Fate~大樹物語~

周り全体が青空と雲で覆われ、地面は鏡のようでそれらを反射し、まるで宙に浮かんでいるような不思議で幻想的な景色ーーー


少女はそこに立っていた。
見た目は10代前半ほどの年齢。

髪は緑の肩に付くほどのボブヘアー。

その大きな瞳は金、緑、青のグラデーションがかかっていて、まるで綺麗なガラス玉のよう。

オレンジ色のショートズボンと腹の開いた袖なしのシャツ、そして腕から手首へと裾の大きく開いたアームカバー、薄茶色のブーツを着用している。

 

少女はしばらく歩く。

すると青々とした大きな樹にたどり着く。

樹の下には薄い黄緑色で身長と同じくらい長い髪をなびかせた美しい女性が木陰に座っている。

20代ぐらいだろうか。

ふわっとした白く長いワンピース、そのスカートは足を覆い隠すほどだ。
そして彼女は少女に気付くと、少女に向き悲しげな瞳で口を開く。


『       』


「なにを言ってるの?」


しかし、その言葉が聞こえなくて少女は不思議そうに首を傾げた。


『       』


「ボクに、なにを伝えたいの?」


再び口を動かし話す女性だが、また聞こえない。

言葉をもっとよく聞こうと少女は1歩近寄る。

 が瞬間、全ての景色が闇へと染まる…


***

「っ!?」


大きく息を吐き出し少女は目を覚ます。

意識が覚めてくると先ほどの光景が夢であったことに気付く。


「…またあの夢?ボクを呼ぶ女の人の…」


まだ夜明け前で辺りは暗かったが、眠る気にもなれずにベッドから起き上り、窓から星空を眺める。

毎晩同じ夢を見るようになったのは、つい最近の事だ。


「ボクは…あそこへ行かなければいけないの?」


確信はないが、夢で見る大きな樹のもとへと行かなければいけない…そんな気がした。


「わからないよ…どうすればいいの?」


少女はそっと呟く。
それが何か意味をしているのかとも思うが、到底理解が出来ず、ただただ疑問に思うだけだった…