小説「Axis of Fate」

案/絵/編集:たみぽん。文:水竜寺葵。オリジナルファンタジー小説。更新は約月1ぐらいです。

プロローグ Axis of Fate~大樹物語~

大きな、大きな樹の下で少年と少女が約束を交わす。

 

「必ず迎えに来てね…」


黄緑色の腰まである長い髪に金色の大きな瞳をした少女の目には、零れんばかりの涙で潤んでいた。


「うん!必ず」


少し癖のついた金髪に蒼の瞳をした少年が力強く返事をする。

少女もまた大きく頷く。そして優しく風が吹くと樹の葉が揺れ、さわさわと音をなす。
それを合図に少年は少女の下を離れていく…
少女は少年の姿が見えなくなるまで見守り続けた…


剣と魔法が交差し、人々が住む緑豊かなこの世界【オルビス】この世界には【マナ】という自然エネルギーが存在している。

マナは全てに含まれ無色透明で植物はもちろんのこと生物にとっても【生命の源】と呼ばれるほど大切なものだ。

人々はそれを駆使し魔法、魔石や魔道具といったものを作り利用していた。

言うまでもなくそれは争いや戦争といったものにも使われていった。
そんな中、突如としてこの世界に空間異常現象が発生した。

それと同時に各地に人でも魔物でもない存在が現れ人々を襲った。

彼らはそれを【裏】と蔑み呼んだ。人々は集結し襲い掛かるそのモノ達との衝突を起こす。

その後約1年に渡り数多の争いが続いたが、国々の力により空間異常現象を消滅させることで事態を収拾させた。

裏や空間異常現象によって大切な人を亡くした者も多く、人々は自身の存在、そして運命すら揺らいだこの事件を【Fate】(悪い運命)と呼んだ。


刻は流れ12年ーーー


現在、この世界の聖暦は3909年。
小規模ながら何の前触れもなく世界の様々な場所で空間異常現象が発生した。

初めのうちは極少数のため国も見逃していたが、僅かの間にその報告は無視できぬほどに広がっていった。

事態を重く見た国は、遂に13年前の事件の詳細を公開し世界各国からのこの事態を収拾させる者を募った。